ペットボトルの原料であるポリエステルを完全分解する触媒反応、農工大が開発(マイナビTECH+)

先端研究

プラスチックの問題が取り沙汰されて久しいです。

高校化学を担当していて有機化学を教えるとまず避けては通れないエステルですが、身の回りでもよく使われています(もちろん、その後の合成高分子の単元にもつながっているわけですが)。

ただ分解が難しく、海洋汚染、マイクロプラスチックの問題など、まだまだ取り組む必要のある課題は多そうです。

少し前に(といってもかなり経ちますが)生分解性プラスチックなども話題になりましたが、分解に要する時間などを考えるとなかなか厳しいようにも感じます。

そんな中、Yahoo!ニュースのトップから見つけたのがマイナビTECH+の記事。

紹介されている記事はこちらになります。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220705-2387987/

東京農工大学のホームページはこちら
https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2022/20220701_01.html

大学のホームページへの掲載は7月1日付だっみたいですね。
もっとも、英国王立化学会Chemical Communications誌の電子版には6月27日付けで掲載されているようです。

さて、東京農工大学のプレスリリースの記事を見ていくと、高校生でも頑張って理解できそうな内容が書かれています。

縮合反応とか付加反応とか、アジピン酸なんかは教科書にも出てきます。
PETの構造(省略形ですが)も記載があって、高校生でも何をやっているのか想像がつくかもしれませんね。

もちろん、聞き慣れない単語も出てきますが、ざっくりまとめると、ランタンの触媒を使うと、従来のように強塩基を大量に使ったり、添加剤を大量に使用して分解しなくてもほぼ完全に分解できるということになりそうです。

なかなか分解しにくい物質を分解したり、再重合したり、違う物質でも試してみたりした結果が掲載されています。

反応温度も150℃、反応時間も4時間ということで、微生物頼みで数年かけて分解するような生分解性プラスチックと比較すると、なかなか凄そうに思ってしまいます。

ジオールとジカルボン酸が繰り返し縮合する点に注目して、低分子量のアルコール(メタノール)で置き換えるという発想があるのかというのも、門外漢からすると新鮮に感じるかもしれません。

高校生でもわからないなりに想像力で補いながら読めるかもしれませんね。

凄いのは、素人目には従来よりも安価で温和な条件で完全に分解できそうであるにも関わらず、今後の展開としてさらに安価に、より温和な条件で分解を可能にしていく反応を構築することとあります。

また、分解前のプラスチックよりも価値ある化学物質を作り出すことにも挑戦していきたいという記載もあります。

研究室レベルを超えて、より大きなスケールでの実証実験ができれば社会実装に近づくと期待されるということも書かれていて、技術で問題を解決していく(社会貢献していく)展望がわくわくさせてくれます。

新しい技術、新しい知識、新しい発見というのは何かと期待させられますね!

東京農工大学、最近は面白い研究が多いようにも思います。

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