ということで、人生初のゆっくりムービーメーカーを使った「ゆっくり動画」を世に送り出して見ました。
中学2年生とかで苦手にしてしまう人も少なくない化学反応式の係数合わせ。
よく考えると、実は当たり前のことをしていくだけ(※後述)なんですけれども、絶対に避けてほしいのは化学反応式ごと丸暗記するという乗り切り方。
世の中には既に解説動画はたくさん存在すると思うのですが、そこに敢えて切り込んでいきたいと思います。
実は、たくさんある解説動画も、最初の段階でおさえておきたいことをスルーしてしまっているものがたくさんあると感じたからです。
(なお、noteでは生徒向けに記事にもしてみました。)
最も複雑な物質の係数を基準の「1」にする理由
世間に出回っている化学反応式の係数合わせの動画を見ると、実はこの最初のステップを意識させていないものが多いように感じます。
左右の辺に存在する原子の数を見比べて数えて書き出し、なんとなく偶数と奇数が揃っていない原子の数を2倍して合わせて‥みたいな動画もあると感じます。
どうしてこっちの原子から先に合わせちゃダメなんですか?
出回っている動画の中で、この疑問に明確に答えていないものが少なくありません。
生徒側からすれば、とにかく数を合わせたいとか、最悪「上から順に1つずつ合わせていけばいつか合うんでしょ!」と思っている生徒も最初はいるのではないでしょうか。
動画の中では「最も複雑(原子の種類と数が多い物質)の係数を(仮に)基準の1とする」としています。
理由は単純で、たくさんの種類の原子についてヒントが増えるから。
そしてこの決めた基準を元手に残りの係数も決定していくという流れになります。
係数合わせの難しいところは、こっちを整数倍すると、それにともなって別の原子の数もずれてしまうことではないでしょうか。
これを忘れてしまって最終的に辻褄があわなくなってしまったり、ケアレスミスにつながってしまうことが多いと思っています。
だから各原子を数え上げて表にし、整数倍とともに逐一変更を更新していくようなタイプの係数合わせの作業は推奨したくないんです。
それを解決するための最初のステップが、この「最も複雑な物質の係数を基準にする」そして「その基準を元に残りの係数を決定していく」という作業だと思っています。
原子の種類が多ければいいんじゃないですか?という人もいらっしゃるかもしれません。
ただ、「数が多い」までいれておけば、他の化合物の係数を分数にしなければならない可能性を減らせたり、作業工程をより一本化(明確化)することにもつながるのではないかと思います。
(もちろん最終的には正しいことさえしていれば正解には至れるのですが)
登場回数の少ない元素から数を合わせる(分数OK)
これも理由は明確です。
登場回数が少ないと合わせやすいからですよね!
という方もいらっしゃると思いますし、それも正解だと思うのですが、実はそれ以上の価値があると思っています。
先程も述べましたが、係数合わせの難しいところは、こっちを整数倍すると、それにともなって別の原子の数もずれてしまうことではないでしょうか。
係数合わせがしやすくなる理由として、係数を合わせるターゲットが見やすくなるというのが1つです。
もちろん、簡単なものから1つずつ係数を決定してヒントを増やしていけば、登場回数の多い元素のヒントが多くなって考えやすくなるという観点もあります。
係数を合わせるターゲットが見やすくなるというのは、その合わせようとする原子の数を数える作業が合わせようとした時点のもので数えればよくなるということです。
つまり、「こっちの原子の整数倍にともなって別の原子も整数倍する」という作業がなくなるので、ミスを減らせるのだと感じています。
毎回、原子の個数の情報を更新していく作業はミスが増えがちなのではないか、というお話です。
おわりに
動画を世に放っただけでは、伝わらない考えもたくさんあるように感じます。
短く簡潔に、ポイントを絞ってというのが求められているのが動画のようにも感じます。
しかし、ただの作業工程の紹介にもなりがちです。
教員である以上は、その理由についても明確に、できるだけ論理的に説明していきたいものです。
今回は、化学反応式の係数合わせについて、方法とその理由を、動画付きでご紹介しました。
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