予備校も変化を迫られる時代:生徒に寄り添い学力を伸ばす「完全習得タイム」

子ども

元記事はこちら

2/1付の産経新聞の記事になります。

この制度を認知したのはTwitterの広告かGoogleのサジェストか何かで偶然見かけた程度のもの。

ただし、記事を読み進めていくと、現在の中堅世代が想像している今までの予備校とは全く違う姿と取り組みが見えてきます。

なお、今回の記事内で扱う予備校生は、現役生ではなく既卒生のことを指します。

完全習得タイムとは

予備校は浪人生のために必要な教科・科目の授業を提供してくれます。

30代や40代の世代で、浪人経験がある方の予備校はとにかく授業についていき、活用しながら自力で実力を高めるようなイメージではないでしょうか。

自ら活用しなければ、予備校は何もしてくれない(わけではないでしょうが)感じだと思うのです。

そんな予備校側が、授業をやりっ放しなのではなく、週に1回、各教科90分、少人数編成(最大20名)で授業に連動した分野の演習問題を解きながら定着を図る機会をカリキュラムの中に組み込むというのです。

その際に、講師が1人質問に対応したりアドバイスをして回るとのこと。

浪人生は自分で自分のために勉強して当たり前、という価値観は少し古くなってきているのかもしれません。

河合塾だけでなく駿台予備校も行っている

産経新聞の記事内では河合塾の取材を元に記事を作成していると思われますが、実はこの取り組みは駿台予備校でも行われています。

河合塾は来春からカリキュラムを大幅改定するということが記事内に書かれていますが、実は駿台予備校も同様に来春からカリキュラムを改定するとともに、完全習得タイムと同様の取り組みをカリキュラムに盛り込んでいます。

私学に勤める教員の視点から

私立学校も中小企業であり、生徒募集や広報活動を行っています。

生徒が集まらなくて経営が危ういのではないかと言われる私学も時々耳にします。

まったくの同業種ではありませんが、危機感をもつのは近い業種だからかもしれません。

大学全入時代に突入し、少子化との兼ね合いもあって浪人生がどんどん減少していく中で、生き残りをかけて変革に踏み切った(踏み切らざるをえなかった)のでしょうか。

私学でも様々な改革や変革が起きているのでとても他人事とは思えません。

記事内にはそのような記載はありませんが、代々木ゼミナールのことを考えてしまうと推して知るべしだと思います。

大手予備校(2社)の担当者を直撃

タイミング良く、大手予備校の担当者と面会する機会がありました。

それぞれの担当者にカリキュラム内で完全習得タイムを導入することについて率直に聞いてみました。

教員転職マン
教員転職マン

(一般的に)今の子は自分で勉強するというのはもう無理なんでしょうかね?

無理です!(バッサリ)

一言、ただバッサリ無理と言われてしまいました(もちろん個々の差や程度問題はあると思います)。

また、無理の方向性の一つとして、どうしても苦手に向き合えないとか、得意ばかりやろうとしてしまうという視点もありました。

それをどのように解消・解決するのかというと、記事内にも出てくるタブレットを活用したICTとAIの力によってだそうです。

どの分野のどの難易度のどの問題に取り組んだのかデータを蓄積し、必要な難易度の問題を最適に与えてくれるそうです。

苦手を避けているのも、担当する講師の先生にはわかってしまうのだとか。

また、別の大手予備校の担当者にはもう少し踏み込んでお話を聞くことができました。

教員転職マン
教員転職マン

どうして寄り添ってあげないとできないんでしょうか?

自信を持てない生徒が多い気がします。自信が持てずに同じ分野をできるようになるまでずっとやり続ける子も多いです。こちらがちゃんと区切ってあげないと先に進めない・進まない子もいます。スモールステップで褒めてあげないとダメだと思いました。

言っていることが教員と同じだと感じました。

おわりに

今回は予備校の完全習得タイムについて取り上げました。

視点としては、生徒の質の変容、人口構成の変化、社会的背景、AI活用、ICT活用など様々なものの見方ができると思います。

なお、超上位クラスでは紙媒体のテキストを配るそうですが、それ以外のクラスではタブレットの中にすべての教材が入っているようにしているコースもあるようです。

なお、今回の記事はスタート地点こそ河合塾ですが、駿台予備校を含めた内容が混じっています。

各予備校から聞いた話もどちらがどちらのものかは明言は避けています。

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