元記事はこちら。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/281068?display=1
Yahoo!ニュースでの掲載はこちら。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6dad75ee5e0527a89dd598494246b02dc810df4e
内容については記事をご参照ください。
教員の負担や労働問題、部活動の問題、採用試験の倍率の低下の問題などが取り沙汰される昨今、報道される内容や世の中の受け止め方を含めて記録しておこうと思い、時事問題を記事化しています。
名古屋市のソフトテニス部(中学校)の事例
キーワードは転校生、正月合宿、部活内ルール、勝利至上主義、強豪あたりでしょうか。
記事内には県の大会で準優勝したこともある強豪ともありますし、8人が次々と退部したという表記もあります。
経験のある方は記事を読んでいくと、察するに余りあるところがあるのではないでしょうか。
部活動に限らず体罰の問題も話題に上がることも多いですが、記事内では以下のように記載されています。
「体罰、いわゆる殴る蹴るではなく、体を痛めつけるような指導をするということが傾向としてあります。例えば、罰走ですね。試合で負けたからということでグラウンドを何十周も追加で走らせるなど、そういった形で痛みを与えるっていう方法に変わってきたんじゃないかなということがあります。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/281068?page=2
それから精神的に痛めつけるような言葉を投げかけるということも、非常に目立ってきています」
日体大の南部さおり教授がコメントもされていますが、該当するかしないかは、半々という印象です。地域差もあるように感じます。
「大きな大会で成績を残すということが、ひいては生徒のためにもなるし、学校のためにもなるし、保護者のためにもなるというふうな考えによって、どんどん推し進められていくということがあるんじゃないかと思います。結果を残さなければならないというふうに顧問が思う」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/281068?page=2
鹿児島県のバスケットボール部(高校)の事例
問題提起の後は変化を遂げてきた事例の紹介となっています。
こちらは鹿児島県でうなぎの養殖業を営む方が30年間バスケットボール部の監督に携わってくださっています。
これだけでも正直ありがたいことです
過去の大阪市の桜宮高校の事件が発端となって、指導法を自主性を重んじる方向に変えたということでした。
こちらのバスケ部も、毎年のように県大会の優勝を争っているそうです。
「子どもたちが自分たちで取り組むということが一番大事。子どもたちがしっかりすればいい。しっかり目標を持って、この練習でいいのかな? この状況で今のがベストだったのか? そりゃ失敗はしますよ。失敗をいい方向にさせていくのが指導者の仕事ですよね」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/281068?page=2
教員経験者としての視点
私個人の部活動に対する考え方は、そりゃあったほうがいいけれど持続可能な方法でなければ無理、という感じです。
初任者の時に42連勤→1休み→75連勤→夏休み(肺炎)も経験しました
記事に対して教員目線で少しコメントを加えていきます。
元記事の写真も含めての判断になりますが、1つ目の事例と2つ目の事例では以下のような差があります。
1つ目(名古屋市)の事例 | 2つ目(鹿児島県)の事例 | |
校種 | 中学校 | 高校 |
性別 | 女子 | 男子 |
種目 | ソフトテニス(個人種目) | バスケットボール(チーム競技) |
校種について
中学生(特に公立であれば生徒層は広い)と高校生(入試を通して一定の生徒層が集まっている)では指導の方法も方向性も変わってきます。
また、発達段階としても中学生と高校生では自分で考えられることに差があります。
記事内の名古屋市の女子生徒の場合も初心者だったということが触れられています。
高校であれば、中学時代の経験がある生徒も少なくないので、大人が教えなくても自分で考えられる土壌を最初からもっている場合もあるわけです。
やはり中学生相手だと、どうしても大人(顧問や監督やコーチ)側が教え込む割合は多くなってしまうと思います。
基礎があってこそ、自主性が活きる場面も増えます。練習に対する取り組み方はモチベーションの保ち方など技術と関連が薄い点もありますが、練習メニューなども絡んでくると、技術があってこそ自分たちで考えられるようになる割合はやはり多いです。
性別について
昨今ジェンダーの問題もあるので男女について述べるのは避けられがちですが、そこは身体的な問題も精神的な問題も含めてやはり差はあります。
小学校教員がTwitter等で高学年の女子の指導法について発信しているものも散見されますが、やはり女の子同士の関係性というのは神経も使います。
また、後述の個人競技なのかチーム競技なのかでも接し方を変えた方がいい場合もでてきます。
競技の特性について
名古屋市の事例では、ソフトテニスという個人競技(もちろん団体戦もあるでしょうが)の話なので、記事内でも誰かを蹴落とさないとレギュラーの枠に近づけないという表記もありました。
部活動全体で集団としても活動しているけれど、内部で細分化されていて細かい競争もあるでしょう。
このあたりの経営をうまくやらないと難しい側面はあると思います。
自分は意図的にペアを変えるなど工夫をしていました。その場合は意図も説明して納得してもらっていました(速い子と組んでスピードに慣れて欲しいなど)。
チームスポーツはチームスポーツで、また別の難しい側面はあります。
誰かが怪我した場合にはどういう交代をするのか、その場合の戦術はどう変わるのか、両方の練習の割合はどうするのか、などなど。
部活動の制度に対して
部活動については、地域移行、外部委託の話も進むかのように見えましたが、実際にはうまくいきそうにありません(部活の地域移行期間「3年」見直し 自治体が「受け皿」不足訴え12/27記事)。
また、地域間格差もあまりにも大きいと感じます。
都内の公立中学校の顧問会に参加しても、部活動についてはあまり関わろうとしない顧問の先生方も増えたような気もします。
専門委員などになると、出席しなければならない会議なども増えてしまい、自分の学校の教育活動以外の仕事も増えてしまいます。自分の生徒が出場していない大会でもお手伝いをしにいかなければならないなど、負担増は避けられません。
おわりに
Yahoo!ニュースに掲載されている記事では、コメントに4名(1/23時点)の有識者のものが掲載されています。
もちろん個々の立場があるとは思いますし、教員とは違う視点からの分析も重要ですが、実際に年間を通して指導にあたってチームづくり等を経験してみないと大変さはわからないところもあります。
この負担感も含めて広く世間に認知され、持続可能な教育界に改善されていって欲しいと思います。