前回の記事で、私自身が本来は数学の教員を志望していたのに、やむを得ず理科の教員免許を取得した話をさせていただきました。
しかし、本来の夢であった数学教員を諦めたわけではありません。
同じような思いをしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
教員採用試験の倍率が高いために、社会の教員免許を諦めて国語や英語に切り替えたという同僚もたくさんいます。
今回は既に教員免許状を所持している場合に、他教科の教員免許状を取得するための方法をお伝えしていきます。
単位さえ修得してしまえば、教員免許状の申請はできます。
しかし、その際の注意点もいくつかあります。
教員生活10年、小学校、中高数学、中高理科の5種類もの教員免許を取得している自分が苦労した経験とそこから学んだ対策をお伝えします!
根拠法令は「教育職員免許法第6条別表第4」と「教育職員免許法施行規則第15条」
この法令の中身を簡単に説明すると以下のようになります
中学校または高等学校の教員免許状をすでに所持している方が、本学にて必要科目(単位)を修得することにより所持する教員免許状と同校種他教科の教員免許状を取得する方法です。
https://tsushin.bukkyo-u.ac.jp/course/subjects/6-4/
教員免許を取得できる通信過程を設置している大学はたくさんありますが、佛教大学のホームページが最も見やすいと思いますので引用させていただきました。
既に教員免許状を取得している人が、同じ校種の他の教科の教員免許状を取得しようとする場合に必要な単位数は以下の通りです。
となっています。
極端な話をすると、通信課程で13単位だけ修得してしまえば、2種免許状なら取得できます。
実際に私が行った方法
教員採用試験に合格し、現場で働きながら通信課程で足りなかった単位を修得しました。
教員として働いて1年目は余裕が全くなかったので、現場に出て2年目に空いた時間を利用してコツコツとやっていました。
通信課程を設置している大学の選び方
実際に大学に足を運べる距離にあるかどうか
万が一大学に足を運ぶ可能性も考えて、通信課程を設置している大学が近くにあったほうが無難だと思います。
足りない単位数の相談や教員免許の取得のための書類の申請など、基本的には郵送やメールでの対応で済むことも多いと思いますが、やっぱり行ったほうが早いということもあります。
また、複数の教員免許を所持しているとか、別の大学で一定の単位を既に修得している場合など、成績表を見ながら対面で事務所の方と直接話したほうが話が伝わりやすい場合もあります。
もちろん、全て電話やメールでの対応で大丈夫という人は距離は問題にしなくても大丈夫です!
また、実技科目の教員免許を取得しようとする場合には、どうしても大学で講義や実習をしなければいけない場合もあります。
スクーリングが必須な場合は大学に足を運ばないといけないので、自宅からアクセスしやすい大学を選びましょう!
1単位の単価が安いかどうか(費用の負担は大きくないか)
通信課程の場合、費用の算出方法は入学金や登録料、事務手数料などの他に、1単位あたりいくらという算出方法の場合が多いです。
先に示した佛教大学の場合であれば、入学時に必要な諸経費は37,500円+学費(1単位4,500円基準×単位数)ということになります。
仮に13単位必要であれば、96,000円ということになります。
同じ計算を他の都内の大学でも行いました。
明星大学通信教育部の場合
入学選考料10,000円、履修登録料20,000、補助教材費が6,000円で授業料は1単位あたり7,500円でした。
よって13単位履修しようと思うと133,500円ということになります。
明星大学通信教育部のホームページはこちらhttps://www.meisei-u.ac.jp/dce/index.html
都内だからでしょうか、1単位あたりの授業料は7,500円と佛教大学と比較するとかなり割高になっています。
玉川大学通信教育課程の場合
入学選考料20,000円、登録料15,000円、学修料8,000で授業料は1単位あたり8,000円でした。
よって13単位履修しようと思うと147,000円ということになります。
玉川大学通信教育課程のホームページはこちらhttps://www.tamagawa.jp/correspondence/
あくまで私の場合ですが、自宅から大学への距離が明星大学のほうが近かったことと、上記のような費用の側面から、明星大学の通信教育部にお世話になることに決めました。
単位の取得がしやすいかどうか
多くの通信制大学の場合、完全にスクーリング無しで済ませる場合でも、レポートのやりとりの他に単位認定試験に合格しなければなりません。
その単位認定試験の会場は大学によって様々です。
私が明星大学を選んだ理由は、この単位認定試験の会場を各都道府県に最低1ヶ所は設置していること。
しかも自分の自宅近く(ほとんど自転車5分の場所)に単位認定試験の会場があったんです。
些細なことかもしれませんが、単位を取得するための手間は少ない方が絶対にいいです。
試験会場まで遠くて、電車の遅延で間に合わなかった、なんてことが起こるかもしれません。
例えば、都内にある帝京平成大学も通信教育課程はあるのですが、科目修得試験は、全国6会場でしか行ってくれません(東京・仙台・宇都宮・名古屋・大阪・福岡)。
帝京平成大学の科目修得試験についてはこちらhttps://tsushin.thu.ac.jp/course/guide/examination.html
帝京平成大学は、全国にある大学の中で数少ない「情報科」の教員免許を通信で取得できる大学だったりします(とても貴重!)。
情報の免許の取得を目指していた地方在住の友人(鹿児島県)に紹介したのですが、試験を受験する負担(試験会場まで行く負担)が大きくて断念していました。
単位を取得するまで
足りない単位を計算する
基本的には都道府県教育委員会で足りない単位数の指導を受けます。
どの大学の何の授業は教職の中の教科に関する科目の何の部分に該当するなど、指導が受けられます。
私が出身大学での事務所で相談した時は、「教科に関する科目」の中の項目は全て同じ大学で取得しておいた方が無難というアドバイスを受けました。
具体的には、数学の教科に関する科目の項目には「代数学」「幾何学」「解析学」「確率論・統計学」「コンピュータ」があります。
私の場合は、大学院在籍中(休学中)にこの教科に関する科目については20単位を取得しておきました。
そのため、数学の教員免許(1種)を取得するために必要だったのは教科教育法の8単位だけでした。
入学手続きを行い履修開始する
通信課程も春入学と秋入学があります。
明星大学の通信課程の場合は、2月頃から説明会を行っていて、資料をもらったり入学の手続きを開始することができます。
3月には手続きを行って4月からは履修を開始していました。
スキマ時間を作って教材を読みこんでいました。
レポートを提出して合格をもらい単位認定試験にも合格する
1単位ものならばレポート1通、2単位ものならばレポート2通を事前に合格していないと、単位認定試験を受験できない方式でした。
そのため、手っ取り早くレポートを書き、大学側へ提出していました。
私の場合は8単位必要だったので、レポートは8通書きました。
8単位の内訳は、数学科教育法1、数学科教育法2、数学科教育法3,数学科教育法4という形で、2単位×4科目というものです。
2通ほどは再提出になりましたが、書き直して再提出したところ2度目では合格し、単位認定試験の受験資格を獲得しました。
単位認定試験も2回にかけて受験しましたが、こちらは1度で合格しました。
免許状を申請するまで
必要な書類を全て揃える
私の場合は、学部生時代に憲法や体育、大学院生時代に教職課程を取得していました。
数学の教科に関する科目の必要単位は大学院生時代に科目等履修生制度を利用していたので別々に成績証明書が必要でした。
加えて、今回は明星大学の通信教育部で数学科教育法を履修しているわけです。
また、既に取得している教員免許状のコピー、本人確認書類など必要な書類は意外に多いです。
必ず都道府県教育委員会のホームページを確認して過不足なく揃えましょう!
指定された都道府県教育委員会へ申請する
郵送での対応もしているところもあると思いますが、私は実際に東京都教育委員会に行きました。
なぜ東京都なのかというと、当時私自身が東京都の教員として働いていたこと、また単位を取得した大学が都内にあったからです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ただ単に、教員免許を取得するだけなら方法は少なくありません。
既に現場で教員として働いているからこそ(採用試験に合格しているからこそ)可能性が広がる方法でもあります。
また、新しく教員免許を取得すると、10年ごとに教員免許の更新講習を受けなければいけないというカウントダウンをリセットできるというメリットもあります!
新免許状を複数所持する場合、その有効期間は、最も遅く満了となる有効期間に自動的に統一されます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/08051422/009.htm(文部科学省ホームページ)
自分の夢の実現のため、自分が生きやすくなるために、ぜひ検討してみてください!
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