顕微鏡の使い方は中学1年生にとって最初の難関ですね。
教科書に掲載されている順番としても、季節柄を考えても、多くの中学校が植物単元から理科の授業を始めると思います。
そして中学1年生の場合は顕微鏡の使い方とセットになっていて、そのために水中の微生物観察も授業計画の中に組み込んでいる先生方も多いハズです。
倍率を上げるとピントが合わなくて、投げ出す生徒が多いんだよなぁ。
この問題は理科の先生にとってはあるあるですよね。
ピントが合わないからいつまでも視界がぼやけたままで観察できない。
だんだんイライラしてきて、投げ出してしまう生徒も少なくありません。
そこで先生方の中には、どうにかして水中の世界を見せようと思っていろいろ準備していると思います。
拡大写真や資料集も活用しているけれど、身近に感じられないんだよなぁ。
実は自分で観察した顕微鏡の視野を簡単に紹介することができるんです!
中学生といえども、数ヶ月前まで小学生だった子どもたち。
先生が実際に手を動かして準備した教材のほうが、資料集よりも遥かに興味関心を持ってくれます!
資料集の活用方法としては、実際に観察することができなかった微生物について知識の補足という観点で利用するほうがいいのかもしれませんね。
今回は過去に私がやって上手くいった、簡単で効果の大きい方法を紹介します!
教員1年目の時に撮影した動画(ページ下部で紹介)は、毎年どの子たちも感動してくれます!
学校の顕微鏡とデジカメで動画撮影する方法
方法はとっても簡単!
この方法で撮影した動画はこちらになります。
ポイントは手順の④番です。
接眼レンズとデジカメのシャッター部分(レンズ部分)がきちんと垂直になるように密着させないと視野が写りません。
逆にポイントはこれだけなので、ここさえ乗り切れば、あとは動画も静止画も撮影し放題です。
もともとは、いくつか植物プランクトンの写真を準備しておいて、顕微鏡を使う前に生徒に提示して興味関心を高める作戦だったのです(多くの現場の先生が同じことを考えていると思いますが)。
目的のプランクトンが写っている資料を探すよりも自分で撮影したほうが早いのではないか。
また、もしかしてデジカメを顕微鏡に密着させたら写真が撮れるんじゃないか?
ダメでもともと、やるだけやってみるかと思ってやってみたら、意外にも上手くいってしまったのです。
私がこの動画を撮影したのは、プレパラートを動かしながらプランクトンを探していて、偶然動いている動物プランクトンを見つけたからでした。
やはり動きのない植物プランクトンよりも、顕微鏡の中で動いている動物プランクトンのほうが圧倒的に生徒たちの好奇心を揺さぶります。
生徒に提示した時の効果は絶大でした。
私は、撮影したデータが入っているデジカメを直接ケーブルでテレビへ接続して出力して生徒に提示しました。
YoutubeにアップロードしたようなBGMは付けておらず、ほとんど無音でしたが、動物プランクトンの動画を撮影している時に興奮のあまり呼吸が荒くなっていて、ハアハア行っている呼吸音も録音されていました(笑)
しかし、「先生もこんなに凄いものがまさか撮れるとは思っていなかったから興奮しちゃったんだ」と伝えたら逆にその臨場感も生徒に伝わり、一層モチベーションが上がりました。
考えられる機材トラブル
上で述べたように、全て学校の顕微鏡と学校のデジタルカメラで動画撮影をすることが基本的には可能です。
しかし、顕微鏡やカメラの形状によっては、うまく垂直に固定することができないことがあるかもしれません。
その場合は管理職の先生に相談して、私物のカメラを持ち込む許可を取りましょう。
もちろん、撮影に使用するメモリーカードのデータについては十分に気をつけて下さい。
また、動く動物プランクトンを追いかけながら撮影する場合には、片手でカメラを固定し、もう片方の手でプレパラートを移動させなければいけません。
当たり前ですが、動物プランクトンが左下へ逃げた場合には、プレパラートは右上に動かさなければなりませんのでご注意下さい。
上の動画では右手でカメラを固定して、左手でプレパラートを移動させています。
予算に余裕があればお金で解決することも可能
理科の実験器具の商品カタログを見ていると、デジタル顕微鏡テレビ装置というものが存在します。
これは顕微鏡に接続して、出力端子からテレビにつなげるとテレビ画面に映像を表示できるというもの。
このような場合には、高価であっても学校で備品としてデジタル顕微鏡テレビ装置を購入するのも1つの方法です。
そして、同じものを買うことが無いように、自分が異動することになった場合にはきちんと引き継ぎをしておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
授業をただ行うだけならば、資料集に掲載されている写真を眺めるのでも十分に知識はつきます。
しかし、やはり実際に自分の手を動かして発見するのが理科の醍醐味です。
中学1年生の4月の授業だからこそ、理科に対するモチベーションを高めるためにも授業内での工夫を凝らしたいところです。
理科の実験や観察を苦手としている生徒は少なくありません。
優等生タイプで机上の勉強だけできる生徒に対しても、実験や観察の面白さを伝えるチャンスです。
また、実験や観察は好きだだし面白いけれども、知識として定着しきれない生徒に対しても更にモチベーションを上げるチャンスです。
モチベーションが高ければ、苦手な勉強にも取り組む気力も湧いてきます。
そして、勉強ができる生徒と実験や観察が得意な生徒が交流し、クラスの中へ波及すると理科大好きなクラスに変貌します。
初期の実験観察だからこそ、生徒の心をしっかりとつかみたいですね。
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